Space Shuttle Endeavour STS-134

 

スペースシャトルエンデバーのラストフライト、STS-134国際宇宙ステーション(ISS)の組み立て/補給ミッションに関するまとめ。

(Image: NASA/Public Domain)

 

スケジュール:米国東部夏時間(日本時間)

  • 打ち上げ: 2011年5月16日午前8時56分(16日午後9時56分)
  • ISSドッキング: 2011年5月18日午前5時14分(18日午後6時14分)
  • ISS離脱: 2011年5月29日午後11時55分(16日午後12時55分)
  • 帰還: 2011年6月1日午前2時32分(1日午後3時32分) ※予定

FD11: エンデバーの機体チェック

OBSSと呼ばれるシャトルのロボットアームを延長するブームを使って、ドッキング中に新たに機体に損傷が増えていないかをチェックしました。実は、この作業はこれまでドッキング解除後に行われていたものです。今回、これまで地上に持ち帰っていたOBSSを国際宇宙ステーションに置いていきます。そのため、ドッキング中にチェックが行われることになりました。

FD10: 第3回船外活動飛行

飛行10日目、アンドリュー・フューステルとマイケル・フィンク両宇宙飛行士により、第3回目の船外活動が行われました。この日行われたのは、電力・通信インタフェース付グラプル・フィクスチャ(Power and Data Grapple Fixture: PDGF)とビデオ信号変換器(VSC)のロシアモジュール「ザーリャ」への設置、太陽電池からロシアモジュールに電力を供給するバックアップラインの設置などです。

「電力・通信インタフェース付グラプル・フィクスチャ」というのは、国際宇宙ステーションのロボットアームの移動拠点となるものです。国際宇宙ステーションに設置されているロボットアーム(Space Station Remote Manipulator System: SSRMS 通称「カナダアーム2」)は、モバイルトランスポーターと呼ばれる台車に乗ってトラス上を移動するほか、尺取虫のようにステーションの表面を移動することができます。この時、宇宙ステーションの各所にある「グラブルフィクスチャ」から電力や通信回線などが供給されます。これまでロシアモジュールにはこの「グラブルフィクスチャ」が設置されていませんでした。今回新たに設置されたことでロボットアームの運用範囲がさらに広くなります。

(Image: NASA)

船外活動中のアンドリュー・フューステル(左)とマイケル・フィンク(右)両宇宙飛行士。左腕の手首に、作業工程表をつけているのが分かります。 また、こちらに向かって手を挙げているフィンク宇宙飛行士の右手の手首内側についているのは、宇宙服の胸の所にある計器を読むための鏡です。宇宙服の胸に は現在の状態を示す小さなモニタやスイッチなどがついていますが、自分では見ることができないため、手首につけた鏡に反射させて確認します。ここではわかりませんが、宇宙服の胸の部分のラベルなどはこの手首の鏡で映すことが前提になっているので左右が反転された状態で書かれています。

 

FD8: ソユーズ TMA-20 ISSから離脱

第27次長期滞在クルーとして国際宇宙ステーションに滞在していた、ドミトリー・コンドラティェフ、パオロ・ネスポリ、キャスリン・コールマンの3人の宇宙飛行士は、この日長期滞在を終え、係留されていたソユーズ TMA-20に搭乗し地球に帰還しました。

 

(Image: NASA-TV)

実は、今回特別にソユーズが国際宇宙ステーションを離れた後、シャトルがドッキングした状態の宇宙ステーションを外から撮影することになりました。ドッキング解除後、約200フィート(約180m)離れた所でソユーズは一旦静止、国際宇宙ステーションは、全体がきれいに見えるようにわざわざ姿勢を変えて撮影が行われました。こうした写真が撮影されるのは、国際ウチュステーションでは初めてのことです。

 

(Image: NASA-TV)

米国東部夏時間5月23日午後4時35分(日本時間5月24日午前6時35分)に国際宇宙ステーションを離脱、予定されていた撮影を行った後、米国東部夏時間23日21:36(日本時間24日10:36)軌道を離脱、約一時間後の23日 22:26(日本時間24日11:26)、カザフスタン共和国の予定されていた地域に予定通り着陸しました。

(Image:NASA)

 

FD7: 第2回船外活動

飛行7日目、アンドリュー・フューステル、マイケル・フィンク両宇宙飛行士により、第2回目の船外活動が行われました。今回行われたのはP1トラスのアンモニアタンクへの配管の接続とアンモニアの充てん作業、左舷側の太陽電池パドル回転機構(SARJ)の潤滑材の充てん、多目的ロボット―アーム「デクスター」への潤滑作業などです。

(Image: NASA)

 

この船外活動中にいくつかトラブルがあったようです。

1つは、フィンク宇宙飛行士が太陽電池パドル回転機構の耐熱カバーを外している際に、ボルトがいくつか脱落してしまったこと。本来ならば、脱落防止用のワッシャーが入っているので、抜け落ちることはないはずのものですが、何らかの理由でこのワッシャーが外れ、ボルトが抜けてしまったようです。このため、本来なら6枚取り外すはずだった耐熱カバーの作業を4枚にとどめて作業を行ったとのこと。また、取り外した4枚のうち、ボルトが抜け落ちた1枚のカバーについては、元に戻さず船内に持ち帰って調査をするようです。

また、フューステル宇宙飛行士が、アンモニアタンクの充てん作業中に配管内に残っていたアンモニアの飛沫を宇宙服に浴びてしまったとようです。液化アンモニアは超低温のため、宇宙服への影響の懸念がありましたが、これについては問題なしと判断され作業が継続されました。

ref. NASA – STS-134 MCC Status Report #13

ref. Realtime coverage of STS-134 EVA No. 2  | CBS News:space

 

FD6: ローマ法王ベネディクト16世がISS/STS-134クルーと交信

飛行6日目の広報イベントで、ローマ法王ベネディクト16世がバチカンから国際宇宙ステーションおよびSTS-134のクルーと交信を行いました。法王がISSやシャトルのクルーと通信を行うのはこれが初めてです。

今回のフライトではISSの長期滞在クルーとしてパオロ・ネスポリ宇宙飛行士が、STS-134のクルーとしてロベルト・ビットリが滞在しており、二人のイタリア人宇宙飛行士が軌道上にそろったことを受け、ヨーロッパ宇宙機関の広報イベントの一環として行われたものです。

(Image: NASA-TV/Public Domain)

ref. YouTube – Pope Benedict XVI Greets Shuttle, Station Crew

ref. ZENIT – Benedict XVI’s Exchange With Space Station Crew ※トランスクリプト

FD6: 機体の損傷チェクが終了/帰還に影響なし

国際宇宙ステーションへのドッキング直前に行われた、エンデバーの耐熱システムのチェックで損傷が発見された件について、最も損傷が大きいとおぼしき個所についてさらに追加の詳細なチェックが行われ、帰還に問題なしとの判断が下されました。

(Image: NASA/Public Domain)

調査された損傷箇所は大きさが約6cm×7cm、深さが2cmほどです。コンピューターシミュレーションでは、この傷の下のアルミの構造材は摂氏100度ほどになるものの、十分な安全マージンがあるとのこと。

ref.NASA – STS-134 MCC Status Report #11

ref. Analysis shows damaged heat shield tile no threat to re-entry  | CBS News:space

 

FD5: 第1回船外活動

飛行5日目、アンドリュー・フューステル、グレゴリー・シャミトフ両宇宙飛行士によって第1回船外活動が行われました。作業時間は6時間19分。フューステル宇宙飛行士は4度目、シャミトフ宇宙飛行士は初めての船外活動となります。

 

暴露実験装置の撮影を行うフューステル宇宙飛行士 (Image: NASA/Public Domain)

この船外活動では、STS-129で設置された暴露実験装置(Materials ISS Experiment: MISSE-7)の回収と、新たな暴露実験装置の設置作業が行われました。これは、ISSのトラス上に設置された装置で、様々な素材や実験装置などを宇宙空間に直接さらし、素材の劣化や変化などを調べるためのものです。人工衛星や宇宙線に使われる表面素材や、スイッチ、センサーなどに加え、過去には植物の種子や胞子、バクテリアなども実験の対象となっています。

第1回の船外活動では、この作業以外にも、照明装置、無線アンテナなどの設置や第2回船外活動で行われる冷却用のアンモニア充填作業の準備などが行われました。

作業終了間際に、シャミトフ宇宙飛行士の宇宙服のCO2センサがエラーメッセージを出したため、最後に予定されていたアンテナの配線作業はスキップされ、両宇宙飛行士は船内へと戻りました。このトラブルで宇宙飛行士が危険にさらされた訳ではなく、エラーを出したのはCO2をチェックするセンサのみで、CO2の除去装置そのものは問題なく動作していたとのこと。センサが正常に動作していない状態では、船外活動の安全規程により残りの酸素容量の制限が厳しくなるため船外活動を中止したということのようです。

ref. NASA – STS-134 MCC Status Report #09

ref. Realtime coverage of STS-134 EVA No. 1  | CBS News:space

FD4: アルファ磁気スペクトロメータ(AMS-2)を設置

飛行4日目、エンデバーのカーゴベイに搭載された、アルファ磁気スペクトロメータ(Alpha Magnetic Spectrometer: AMS-02)のISSへの移設作業が行われました。作業はエンデバー側のロボットアームでAMSをつかみ、ISS側のロボットアームに引き渡す、という手順で行われ、ISSのトラス上に設置されました。

 

(Image : NASA/Public domain)

AMS-2は宇宙から飛来する高エネルギー粒子、宇宙線を観測する為の装置です。ISSに恒久的に設置され、反物質やダークマターの存在を検証する為の観測を行います。

 

ISSのトラス上に設置されたAMS-2 (Image credit: NASA/Public Domain)

FD3: エクスプレス補給キャリア(ELC-3)を設置

ドッキングに引き続き、エクスプレス補給キャリア3(Express Logistics Carrier 3 : ELC-3)の設置作業が行われました。

 

(Image : NASA/Public domain)

STS-134の耐熱タイルに損傷を発見

NASAはドッキングの際に行われたエンデバーの耐熱システムのチェックで、機体下面のタイルの一部に損傷が発見されたと発表しました。現時点では損傷は軽微で帰還には問題ないとされていますが、どうやらさらに詳しいチェックが行われるようです。

 

(Image : NASA/Public domain)

これらの傷は、打ち上げ時に外部燃料タンクから脱落した断熱材によるものと考えられています。今回使われたタンク(ET-122)は製造から10年近くたっており、製造したミショー組み立て工場がハリケーンカトリーナに被災した際に損傷を受けたという経緯がありました。こうした経年変化や損傷箇所の修理は事前のチェックで問題なしとされていますが、一部の報道によれば今回の断熱材の脱落にこうした点が影響したのではないかとする声もあるようです。

FD3: STS-134 国際宇宙ステーションにドッキング

スペースシャトルエンデバー STS-134はフライト3日目、アメリカ東部夏時間5月18日午前5時14分(日本時間18時14分)国際宇宙ステーションにドッキングしました。

 

ドッキングの直前にSTS-134の船内から撮影された国際宇宙ステーション (Image : NASA/Public domain)

 

今回ドッキングに際して、現在開発中のオリオン宇宙船用のドッキング用センサーシステムのテストが行われています。

オリオンは当初アメリカの次世代有人宇宙プロジェクトとして進められていたコンステレーション計画の一部として開発が進められていましたが、コンステレーション計画が中止され、現在は国際宇宙ステーションからの緊急脱出用として開発が進められています。プロジェクトそのものは大幅に縮小されていますが、これらの要素技術は、民間機も含め次世代機の開発に生かされることになるでしょう。

このシステムのテストはISSからの離脱時にも行われる予定です。

STS-134打ち上げ成功!

エンデバーはアメリカ東部夏時間2011年5月16日午前8時56分(日本時間同日21時56分)にフロリダ州ケネディ宇宙センターより打ち上げられました。おめでとうございます!

 

(Image : NASA/Public domain)

カウントダウン中に、クルーが搭乗するハッチのすぐ側で耐熱タイルの表面がわずかに剥離しているのが発見されましたが、地上作業員によってその場で補修が行われました。天候は当初70%の確率で打ち上げ可能という予報でしたが、打ち上げ時間にはわずかながら上空に雲があったものの、時間通り打ち上げが行われました。

STS-134打ち上げ延期(追記有り)

2011.05.11 update

NASAはスイッチボックスの交換及びチェックにさらに時間がかかるとし、打ち上げをさらに延期しました。現時点での最短の打ち上げ予定は以下の通りです。

  • アメリカ東部夏時間: 5月16日 8:56
  • 日本時間:5月16日 21:56

2011.05.03 update

不具合箇所がほぼ特定され、機体右後部、垂直尾翼の根元あたりにある、ALCA-2と呼ばれるスイッチボックスが交換されることになりました。当初打上げ予定は8日以降となっていましたが、機器の交換に時間がかかる為、現時点では現地時間10日以降となっています。ただ、作業状況によっては、さらに打ち上げが延期される可能性もあるとのこと。

 

ALCA-2の位置 (Image : NASA/Public domain)

2011.04.29 update

補助動力装置の不具合により4月29日15:46に予定されていたエンデバーの打ち上げは延期されました。(4月29日4:30 JST 現在)。

  • アメリカ夏時間標準時 5月2日 14:33
  • グリニッジ標準時 5月2日 18:33
  • 日本時間 5月3日 03:33

補助動力装置(APU)というのは、エンジンのノズルや着陸装置、主翼や尾翼の空力装置などを動かす為の油圧ポンプです。これが動かないと当然ながら機体のコントロールができません。そのためシャトルには予備も含め3機のAPUが搭載されています。今回、このうちの一台のヒーターが故障したとのこと。これは軌道上でAPUに燃料を供給するパイプが凍り付かないように加熱する為のものです。今のところ不具合の原因は分かっていませんが、エンジニアによれば電気系統ではないかとのこと (4月29日4:30 JST )。

ミッションプレビュー

シャトルのフライトも残す所あと2回(ISSへの物資補給の為のフライトが6月に追加され、当初の予定から1回増えています)。Endeavourのフライトはこれで最後になります。

搭乗するクルーは以下の通り、今回はISS長期滞在クルーとの交代はありません

  • 船長: マーク・ケリー(Mark E. Kelly)
  • パイロット: グレゴリー・H.ジョンソン(Gregory H. Johnson)
  • ミッションスペシャリスト1:マイケル・フィンク(E. Michael Fincke)
  • ミッションスペシャリスト2: ロベルト・ビットーリ(Roberto Vittori)
  • ミッションスペシャリスト3: アンドリュー・フューステル(Andrew J. Feustel)
  • ミッションスペシャリスト4: グレゴリー・シャミトフ(Gregory E. Chamitoff)

今回のミッションでは、エクスプレス補給キャリア」(Express Logistics Carrier: ELC)の取り付け、また、アルファ磁気スペクトロメータ(AMS-02)の設置などが行われる予定です。

エクプレス補給キャリアは、ISSのトラスに設置される、交換用のスペアパーツなどを保管しておく為のパレットです。今回のミッションでは、高利得アンテナ、高圧ガスタンク、多目的ロボットアーム「デクスター」の予備アームなどが搭載されています。

アルファ磁気スペクトロメータは宇宙空間で素粒子を観測するための観測機器で、軌道上で反物質や未発見の物質、ダークマターなどを発見することを目指しています。宇宙空間では空気がないため宇宙からやってくる高エネルギー粒子を直接捉えることができるため、これまで地上ではえられなかった成果が得られる物と期待されています。

ref.STS-134 Endeavour 打ち上げ関連URL

ref. イベント:ロケット・宇宙機/STS-134 – Space Cluster Japan ※関連URL

ref.STS-134 Atlantis Mission Timeline : Launch ※タイムスケジュール

Space Shuttle Endeavour (OV-105)

エンデバーが就役したのは1992年、5機作られた中で最も新しいオービターです。エンデバーはチャレンジャーの事故を受け、スペアパーツから作られました。これまでに、24回のフライトを行い、地球を4,429周し、軌道上に280日とどまり、148人の宇宙飛行士を軌道上に送り届けています。

エンデバーのミッションの前半のハイライトは、1993年12月のハッブル宇宙望遠鏡の最初の修理ミッションでしょうか。主鏡のゆがみにより本来の性能が得られなかったハッブルに対して、このゆがみを補正する機器を取り付けることで、本来の性能を引き出す、という重要なミッションでした。

エンデバーにも日本人宇宙飛行士が多く搭乗しています。1992年のSTS-47と2000年のSTS-99で毛利衛さん、1996年のSTS-72と2009年のSTS-127に若田光一さん、2008年のSTS-127に土井隆雄さんがそれぞれ搭乗しました。また、日本が主導したミッションとも縁深い機体で、1996年の若田さんのフライトでは日本の軌道上実験ユニットSpace Flyer Unitの回収、2008年の土井さんのフライトでは「きぼう」の船内保管室、2009年の若田さんのフライトでは船外実験プラットフォームを国際宇宙ステーションに運んでいます。

エンデバーの名前は、オービターの名前は著名な海洋調査船から取るという慣習に従い、キャプテン・クックの南太平洋探検の第1回航海に使われたHMBエンデバー号から取られました。

Reference

STS-134 (NASA)

国際宇宙ステーションの組立フライト ULF6(STS-134)(JAXA)

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Space Shuttle Endeavour (Wikipedia)

 

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