Space Shuttle Atlantis STS-135

いよいよ、ラストフライト、30年以上にわたるスペースシャトルプログラム最後の打ち上げです。米国東部夏時間8日午前11時26分(日本時間 2011年7月09日午前00時26分)、ケネディ宇宙センターよりスペースシャトル アトランティス STS-135が打ち上げられます。

 

image: NASA

 

ミッション中随時更新します。

 

 

スケジュール:米国東部夏時間(日本時間)

  • 打ち上げ: 2011年7月08日11:26 (9日00:26)
  • ISSドッキング: 2011年07月10日 11:10 (11日 00:10)
  • ISS離脱:2011年07月18日 02:00 (18日 15:00)
  • 帰還: 2011年07月20日 07:07 (20日 20:07)

ref.STS-135 Atlantis Mission Timeline : Launch

 

 

FD1: STS-135 Atlantis 打ち上げ成功!

アメリカ東部標準時7月8日午前11時29分(日本時間9日午前0時29分)、STS-135 Atlantisがケネディ宇宙センターから打ち上げられました。スペースシャトルプログラム135回目、最後の打ち上げです。

Image:NASA

 

当初は打ち上げ時間の天候が懸念されていましたが、ぎりぎりになって天気が回復、雲の間を縫うようにして打ち上げが行われました。

ただ、打ち上げ31秒前、地上のコンピューターからアトランティスのオンボードコンピューターにコントロールが引き継がれるタイミングでカウントダウンが停止するというトラブルがありました。どうやら、外部燃料タンクの上部にある気化した燃料を安全にタンクから抜くための装置、通称「ビーニーキャップ(ベレー帽)」が完全に収納されていないという警告が出たようです。すぐに問題がないことが確認され、当初の予定から約2分遅れての打ち上げとなりました。

ref. Slight shuttle launch delay explained – The Write Stuff – Orlando Sentinel

フライトそのものは非常にスムーズ。「教科書通りの打ち上げ」で、所定の軌道に乗りました。いよいよ最後の13日間の始まりです。

***

さて、今回は最後のフライトということで、印象的なシーンがいくつもありました。

Image: NASA-TV

こちらは、シャトルに乗り込む宇宙飛行士たちの補助をする「クローズアウトクルー」です。普段は目立たない裏方の彼らですが、今回は発射台から退去する前に、1人1人カメラに向かってメッセージボードを掲げていました。あまり見ることのできないシーンです。

ref. YouTube – ‪Shuttle Closeout Crew Says Goodbye‬‏

 ***

いつも、ローンチディレクターは打ち上げにGoを出した後、クルーにメッセージを伝えますが、最後となる今回はこんなやり取りが交わされました。少し長くなりますが、引用しておきましょう。

“OK, Fergie, we’re starting to feel pretty good here on the ground about this one today so on behalf of the greatest team in the world, good luck to you and your crew on the final flight of this true American icon. And so for the final time, Fergie, Doug, Sandy and Rex, good luck, Godspeed and have a little fun up there.”

- Launch Director Mike Leinbach

これに対する、STS-135機長 クリス・ファーガソンの返答

“Hey, thanks to you and your team, Mike and until the very end, you all made it look easy. The shuttle’s always going to be a reflection of what a great nation can do when it dares to be bold and commits to follow through. We’re not ending the journey today, Mike, we’re completing a chapter of a journey that will never end. You and the thousands of men and women who gave their hearts, souls and their lives to the cause of exploration … let’s light this fire one more time, Mike, and witness this nation at its best.”

- STS-135 Commander Chris Ferguson

言葉の端々に思いを込めつつ、あえて普段の打ち上げと同じ言葉で送り出したローンチディレクターと、それを受けて、短い言葉でスペースシャトルプログラムとその最後のミッションであるこのフライトの役割を語った機長のやりとりは、とても印象的です。

***

そして、こちらは打ち上げの瞬間のNASA広報官のコメント。

“Go for main engine start. T-10, 9, 8, 7, 6, 5 — all three engines up and burning — 2, 1, zero, and liftoff! The final liftoff of Atlantis  — on the shoulders of the space shuttle, America will continue the dream.”

- Kennedy Space Center PAO George Diller

 

ref.  YouTube – ‪STS-135: Final Launch of the Space Shuttle Program‬‏ (NASA-TV)

 

 

ミッションプレビュー

スペースシャトルプログラム最後のミッションとなるSTS-135では、主として国際宇宙ステーションへの補給が行われます。このミッションにより、国際宇宙ステーションにはクルーが約半年補給なしで生活できるだけの物資が運び込まれます。

実は、このミッションは当初の予定には入っていませんでした。アトランティスは前回のSTS-134に緊急事態が発生した時に救助を行うための機体 として用意され、STS-134の帰還後はそのまま退役する予定でした。次世代機の開発の遅れや、救難機としての準備作業にかかるコストなどを考慮し、 ミッションの追加が決定されました。

今回のクルーは4人。これは、STS-135はこれまでのミッションのように救難用のシャトルが用意されておらず、万が一STS-135にトラブル が生じた際、国際宇宙ステーションに設置されたソユーズカプセルで帰還しなければならないためです。もしシャトルにトラブルが生じた際は、今後打ち上げる ソユーズに空席が用意され、STS-135のクルーはそれぞれ時期をずらして1人づつ帰還することになっています。

クルーの数が限られたことで、補給物資を余分につめるというメリットもありますが、これまで7人でこなしていた各種の作業を4人でこなさなければな らないため、クルー1人あたりのタスクが多くなっています。また、ミッションの正式決定から打ち上げまでの期間が短かったため、通常よりかなり短い訓練機 関でのフライトとなりました。そのためもあり、今回のクルーは全員シャトル/ISSへの搭乗経験があるベテランばかりです。

  • 船長: クリストファー・ファーガソン(Christopher J. Ferguson)
  • パイロット: ダグラス・ハーリー(Douglas G. Hurley)
  • ミッションスペシャリスト1:サンドラ・マグナス(Sandra Magnus)
  • ミッションスペシャリスト2: レックス・ウォルハイム(Rex Walheim)

ちなみに、シャトルプログラムでクルーが4人しか搭乗しなかったのは1983年のSTS-6以来28年ぶりです。

今回の搭載物は以下の通り

  • 「ラファエロ」(多目的モジュール2)
  • ロボットによる燃料補給ミッション(Robotic Refueling Mission: RRM)実験装置

「ラファエロ」はイタリア宇宙機関が製造した物資補給用のモジュールです。国際宇宙ステーションに物資を運びこんだ後は、回収品などを搭載し再びシャトルに乗せられて地上に戻されます。今回のフライトでは補給物資を最大限に積むため改造が行われました。

RPMは将来、軌道上の衛星に燃料を補給するための実験を行う装置です。国際宇宙ステーションに設置されているロボットアームを使い、人工衛星に燃料を補給するための技術を検証します。

また、これまでのフライトでは、操縦席およびその後席のフライトデッキに4人、ペイロードベイの直前のミッドデッキに3人搭乗していましたが、今回はフライトデッキにしか搭乗しないため、ミッドデッキにも補給物資が満載されています。

今回のミッション中に、1回の船外活動が予定されていますが、STS-135のクルーではなく、国際宇宙ステーションに長期滞在をしているロナルド・ギャレン、マイケル・フォッサム両宇宙飛行士によって行われます。

船外活動では、故障した冷却装置のポンプの交換、ロボットによる燃料補給ミッション実験装置の設置、STS-134で運ばれた材料暴露装置の設置などが行われる予定です。

打ち上げ関連のストリーミング中継、ニュースサイト等の各種情報。ミッションのタイムスケジュールなどは以下のURLを参照してください。

ref.STS-135 Atlantis 打ち上げ関連URL
ref. イベント:ロケット・宇宙機/STS-135 – Space Cluster Japan ※関連URL
ref.STS-135 Atlantis Mission Timeline : Launch ※タイムスケジュール

 

Space Shuttle Atlantis (OV-104)

アトランティスは1985年に4機目のシャトルとして就航しました。名前の由来はウッズホール海洋研究所の2本マストの海洋調査船 “RV Atlantis” (シャトルの名前はすべてアメリカの著名な船の名前から取られています)。これまでのフライト数は32、宇宙に送り届けた人数は191人です。

アトランティスは、ISSの建設以外のミッションでは、1989年に金星探査機マゼラン(STS-30)と木星探査機ガリレオ(STS-34)を打 ち上げました。また、1995年から1997年までシャトル-ミールプログラムで使われ、7回にわたりミールへのドッキングが行われています。

実は、アトランティスは2008年の段階で退役し、残ったエンデバーとディスカバリーに部品を供給するために解体される予定でしたが、2010年ま でにシャトルを退役させるというプランが、3機のシャトルを必要とすることが分かったため、2010年まで退役が延期されました。そのため、他の2機に搭 載されている国際宇宙ステーションから電源を供給してドッキング期間を延長するシステムを搭載していません。

ちなみに、5機あるシャトルのうち日本人宇宙飛行士が搭乗したことがないのはアトランティスだけです。

 

 

Reference

STS-135 (NASA)

CBS News Space Place (CBS News)

国際宇宙ステーションの組立フライト ULF7(STS-135) (JAXA)

Space Shuttle Atlantis (Wikipedia)

Leave a Reply